私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

高速道路を走りバイクが止まったのはどこの区にも入らない海岸。時間も相まってかオレンジ色に染まっている。


「たまに来るんだ」


「・・・そう」


そよ風が心地よい。確かにバイクで飛ばした後にここで休憩すればいい気分転換になるだろう。


私も久しぶり走ろうかな。


潮の香りを運びながら吹く風で皇の髪が揺れる。白に近い金髪が海よりも輝いて見えるのは気のせいなんだろうか。


階段を降りる皇に続けば最後の段差で手を差しだされる。


紳士的な面もあるのは分かるけど、ゴリラ呼び忘れてねーからな。


「・・・」


僅か数秒触れた手は大きくて温かかった。


「・・・ありがとう」


砂浜を歩いて数分、立ち止まり呟かれた言葉は想像していなかったもの。


「・・・なんのこと」


「優里と文のことだ」


益々分からん。私は感謝されるような事をした覚えはないぞ。


「本人もこのままじゃいけないと思っていた中、文は女で優里以外にも関われる存在ができた。・・・理由は一旦省くがお前は優里の友達になってくれた。それだけで優里と文、俺達も救われてるんだ」


だからありがとうと続ける。


なんだ、それ。私は今どんな顔をしているんだろうか。


私はこれまでに色んなものを壊してきた。


憎まれることの方が多かった。


そんな私が感謝を・・・?