水族館のチケット売り場に着いて、表示された大人一名様の金額を確認。祐希は二つ折り財布を取り出して人の列に並ぼうとしたが、目の前に「はい」とチケットを出されて面食らう。
「え?」
「僕が誘ったから、祐希の分も買っといた」
いつの間に買ったのか分からないが、チケットを渡された。祐希は慌てて財布の中を探る。
「ちょっと待って。チケット代、渡すから」
「いいよ。受験生の君と違ってバイトもしてるしね」
「そうなんだ……っ、じゃなくて!」
バイトというのは初耳で一瞬気を取られてしまったが、チケット代は二千五百円。二人分だと五千円。素直に甘えるには学生にとって結構な金額だ。納得いかずに財布からお金を出そうとしたが、その手は彼の手によって止められた。
「あとでアイスクリームでも奢ってくれたらいいよ。混まないうちに行こう」
「ちょっ、智史……!」
入場料とアイスクリームでは割に合わないと伝えようとしたが、強く手を引かれては振り解けない。口を出す暇もないまま、水族館の入り口でチケットを渡して中に入る。すぐに広がる青一面の世界に目を奪われた。まるで海の底を思わせるトンネルを潜ると、エイやアジなどよく知る魚や名前も知らない色鮮やかな魚がたくさん泳いでいる。
「すごい。こんなにたくさん」
「さすが大きい水族館だね。ユメウメイロもいる」
そう言った智史の顔は少し薄暗い中でも分かるほどに楽しそうだ。魚にも詳しい。
「智史、好きなんだ?」
「え、なっ……何が?」
「水族館、好きなのかなって。すごく嬉しそうだから」
隣に立つ彼を見上げると、珍しく驚いた顔をしている。もしかして違ったのだろうか。
「ああ、そうだね。海の生き物は好きだよ。特にイルカが好きで、ここはショーもあるって聞いたから来てみたかったんだ」
確かに先程館内放送でイルカショーがあると言っていた。時間は一時間後。ちょうど良い頃合いに、ショーの場所に着きそうだ。
だが今はそれより何より重大な問題がある。
「え?」
「僕が誘ったから、祐希の分も買っといた」
いつの間に買ったのか分からないが、チケットを渡された。祐希は慌てて財布の中を探る。
「ちょっと待って。チケット代、渡すから」
「いいよ。受験生の君と違ってバイトもしてるしね」
「そうなんだ……っ、じゃなくて!」
バイトというのは初耳で一瞬気を取られてしまったが、チケット代は二千五百円。二人分だと五千円。素直に甘えるには学生にとって結構な金額だ。納得いかずに財布からお金を出そうとしたが、その手は彼の手によって止められた。
「あとでアイスクリームでも奢ってくれたらいいよ。混まないうちに行こう」
「ちょっ、智史……!」
入場料とアイスクリームでは割に合わないと伝えようとしたが、強く手を引かれては振り解けない。口を出す暇もないまま、水族館の入り口でチケットを渡して中に入る。すぐに広がる青一面の世界に目を奪われた。まるで海の底を思わせるトンネルを潜ると、エイやアジなどよく知る魚や名前も知らない色鮮やかな魚がたくさん泳いでいる。
「すごい。こんなにたくさん」
「さすが大きい水族館だね。ユメウメイロもいる」
そう言った智史の顔は少し薄暗い中でも分かるほどに楽しそうだ。魚にも詳しい。
「智史、好きなんだ?」
「え、なっ……何が?」
「水族館、好きなのかなって。すごく嬉しそうだから」
隣に立つ彼を見上げると、珍しく驚いた顔をしている。もしかして違ったのだろうか。
「ああ、そうだね。海の生き物は好きだよ。特にイルカが好きで、ここはショーもあるって聞いたから来てみたかったんだ」
確かに先程館内放送でイルカショーがあると言っていた。時間は一時間後。ちょうど良い頃合いに、ショーの場所に着きそうだ。
だが今はそれより何より重大な問題がある。
