雨の日の出会い

 勢い良く出て行った智史の家に戻ってきてしまった。気まずさを感じながら、祐希は玄関で彼に渡されたタオルを受け取る。シャワーを勧められたが彼も同様にびしょ濡れだったので、先に使うよう伝えたのだが――

「祐希を後回しにできないから一緒に入ろうか?」

 と有無を言わせない攻撃に合い、あたふたしているうちに一人脱衣所へと突っ込まれた。とにかく早くあがろうと濡れた服を脱ぎ、ひとまず洗面台に置いた。出てきてから服を絞ろうと浴室に入り、シャワーのコックを捻る。熱くなってきたお湯を浴びて、大慌てで髪から全身を温めていく。
 シャワーに当たっていた時間は四〜五分だろうか。浴室から出ると、既に濡れた学生服はなく洗濯機がごうごうと回っていた。脱衣所のプラスチックカゴにはサクセスブルーのカッターシャツと黒のカジュアルパンツと下着が入っている。

——まさかこれ着ろってこと……?

 服がこれ以外にないから着ないという選択肢がない。タオルで体を拭いて智史が用意してくれた服に着替えてみた。身長差のある彼のシャツは大きくだぼついていて指先しか見えない。おまけにジーパンは二重に裾上げしなければ引きずることになる。あまりにサイズが違いすぎて洗面台の鏡を見ながら唸っていると、カチャリとドアが開いた。

「祐希、出るの早いよ。ちゃんと温まっ……」

 脱衣所に顔を覗かせるなり苦言を呈そうとしていた様子だったが、姿を見るなり智史の言葉が止まってしまった。明らかにサイズオーバーの服を着ているところをじっと見られて、祐希は唇を尖らせる。

「服、……大きいから裸でいい」
「ちょっ、ま、だめだめ! せっかく温まったのに体冷えるから! そのまま待ってて!」

 力一杯言い切る彼に両肩を押されるまま脱衣所を出ると、入れ替わるようにしてドアが閉まった。何か見ていたのに慌てて否定する智史の言動に首を傾げて、前回来た時と同じソファに腰かける。