しとしと降り出した小雨が大粒の雨に変わっていく。
智史と最後に会ったのは、二週間前の土曜。水族館に行った日だ。
ショッピングモールでステーキを食べてアイスも忘れず奢って、そして駅まで戻ってきた。そのあとはいつも通り別れた。電車の中で連絡先を交換しているが、一度もメールや電話をしたことがない。「また会える?」と聞くのは何だか変だし「また出かけよう」と誘うのも何だか気が引ける。そうこうしているうちに日が過ぎてしまった。まるで智史と出掛けたことは夢か幻だったのではないかと思うが、学生カバンについたイルカのキーホルダーが現実だったと教えてくれる。
「ねえねえ、最近流行ってる占いとかない?」
「恋愛系? それなら良いのあるよー。これこれ、人気のお悩み相談室」
「どれどれ、私にも見せてー!」
電車の中では女子高生たちが顔を寄せ合い恋話で盛り上がっている。恋愛と聞いて祐希の頭に浮かぶのは彼のことだ。彼女がいるのか。大学では女の子とどんな話をしているのか。水族館やショッピングモールでも聞く機会はなかったし、何より立ち入ったことを聞けるほど親しい間柄ではない。それでもひとたび考え出すと胸がモヤモヤしてくる。彼が誰と恋愛していようと関係ないはずなのに鬱々としてしまう。きっと水族館で過ごした時間がとても楽しかったから。
――メールしてみようかな。ああ、それより傘、どうしよ……。
電車から降りて止みそうにない雨空を眺めると、溜息を一つこぼす。相変わらず傘を持ち歩く習慣はない。駅前まで来ても変わらない空模様に覚悟を決めて、カバンを頭の上に置く。一気に走り出そうとした、その時――
「これ、良かったらどうぞ」
智史と最後に会ったのは、二週間前の土曜。水族館に行った日だ。
ショッピングモールでステーキを食べてアイスも忘れず奢って、そして駅まで戻ってきた。そのあとはいつも通り別れた。電車の中で連絡先を交換しているが、一度もメールや電話をしたことがない。「また会える?」と聞くのは何だか変だし「また出かけよう」と誘うのも何だか気が引ける。そうこうしているうちに日が過ぎてしまった。まるで智史と出掛けたことは夢か幻だったのではないかと思うが、学生カバンについたイルカのキーホルダーが現実だったと教えてくれる。
「ねえねえ、最近流行ってる占いとかない?」
「恋愛系? それなら良いのあるよー。これこれ、人気のお悩み相談室」
「どれどれ、私にも見せてー!」
電車の中では女子高生たちが顔を寄せ合い恋話で盛り上がっている。恋愛と聞いて祐希の頭に浮かぶのは彼のことだ。彼女がいるのか。大学では女の子とどんな話をしているのか。水族館やショッピングモールでも聞く機会はなかったし、何より立ち入ったことを聞けるほど親しい間柄ではない。それでもひとたび考え出すと胸がモヤモヤしてくる。彼が誰と恋愛していようと関係ないはずなのに鬱々としてしまう。きっと水族館で過ごした時間がとても楽しかったから。
――メールしてみようかな。ああ、それより傘、どうしよ……。
電車から降りて止みそうにない雨空を眺めると、溜息を一つこぼす。相変わらず傘を持ち歩く習慣はない。駅前まで来ても変わらない空模様に覚悟を決めて、カバンを頭の上に置く。一気に走り出そうとした、その時――
「これ、良かったらどうぞ」
