一通りの屋台を見て、各々食べたいものを買って、ベンチに集まった。
みんなで他愛ない話をして笑っていると、
アナウンスが流れた。
『間もなく夜空を1万発の花火が彩ります。
お子さまとはぐれないよう…』
「とうとう花火だね!」
「そうだな。」
「西園寺、ちょっと飲み物買いに行くの付き合ってくれない?」
突然の長崎くんの提案に私は少し驚く。
このタイミングで?
しかも匡じゃなくて、どうして麗香?
「いいわよ。」
当然のようにOKした麗香にさらに驚く。
「今一番混んでるだろうし、あとにした方がよくない?」
「いいのよ。私も喉が乾いたの。」
「じゃあ一緒に…!」
「いいから都はここで谷くんと待ってなさい。」
有無を言わせない麗香の言い方に、
私はおとなしくベンチに座り直した。
「安心してよ、近衛。
俺が西園寺のことちゃんとエスコートするから。」
「できるかしら?」
二人はそんな冗談を言い合いながら、人混みの中へ消えていってしまった。
匡と二人になり、一瞬沈黙する。
「麗香、大丈夫かな?下駄なのに…。」
「あいつら、マジで腹立つな…」
「え!?どうして?」
匡の顔を見ると、少し赤い気がする。
いや、きっといくつも吊るされた提灯の色だ…。
「なんでもねぇよ。
西園寺なら自分の体のことくらいわかってるだろ。」
「うん…。そうだね。」
いつもみたいにうまく会話が続かない。
匡はさておき、私はコミュ力だけはあるはずなのに!
つい、さっきの恥ずかしい妄想が頭の片隅に浮かんでしまう。
「き、匡…宿題終わった?」
「まだ。都は?」
「たぶん匡よりまだ。」
私が苦笑いすると、匡と目があった。
吸い込まれるような瞳。
匡は小さく口を開いた。
「浴衣……にあって「あれ?匡?」
ハッとなって横を見ると、
知らない男女の高校生らしきグループがいた。



