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せっかくなのでお祭りには長崎くんも誘った。
長崎くんは二つ返事でOKしてくれた。
ーー迎えた当日。
私と麗香は西神社の鳥居の前に来ていた。
予想通りの人混み。
みんな考えることは同じだ。
この辺じゃ一番大きい花火大会だから、
夏休みの最後の思い出作りにはもってこいだもんね。
「鳥居待ち合わせにしたの失敗だね。」
「大丈夫よ。こんなに可愛くした都に
谷くんが気づかないはずないわ。」
「何言って…それ言うなら麗香の方が!」
麗香は慌てることなく隙のない笑顔を見せた。
誉められ慣れてない私とは大違い。
私たちは昼過ぎから気合いをいれて準備をしてきた。
浴衣はもちろん、普段はしないお化粧も。
せっかくのお祭りだし、シャッターチャンスだもんね!
「麗香、写真撮ろ!」
「忙しい子ね。」
麗香とのツーショットをSNSに載せると、
あっという間にたくさんのいいねがついた。
さすが麗香!
存在が映えだ!
「あ。西園寺、近衛!」
「長崎くん!」
二人で写真を撮っていると、長崎くんと合流した。
「長崎くんも、写真とろ~!」
「いいよ。」
「悪い。遅れた。」
続けて匡も現れた。
あ、れ…?
匡ってこんなにカッコよかったっけ?
いや、カッコいいのは知ってたはずだ。
改めてそう思ったのは…なんでだろう。
「谷くん遅い。」
「なんで俺だけなんだよ。
長崎もおんなじくらいに…」
「こんなに可愛くしてる都を早く見たいと思わないの?」
「はぁ?何…を」
匡は私の方に視線を向けると、
麗香への反論を中断した。
そんなにじっと見つめられると照れる…。
「ほらね?
谷くんが遅れてきた分、損してるのよ!」
「アホか。」
「なに?どうして私?」
麗香と匡に聞くけれど、こういうときは決まって二人とも口をつぐむ。
私はいつも通り諦めるしかなかった。



