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夏休みが始まってすぐーー

匡は約束通りクラスメイトとの合コンをセッティングしてくれた。

合コンと言うより、親睦会みたいな感じだけど…

はじめはいきなりみんな知らない人たちより
顔見知りの方がいい。

匡に誉めてもらった白のワンピースを着て、
楽しみな気持ちいっぱいで待ち合わせ場所に向かった。



待ち合わせの駅前に着くと、見知った顔。

女子は麗香、奈々ちゃん、春佳、私
男子は匡、長崎くん、須藤くん、甲斐くん。

須藤くんと甲斐くんは
クラスでも目立つ方の長崎くんの友達だ。

8人で馴染みのファミレスに集まった。


「んじゃ、交流会はじめまーす」


長崎くんの一声で、私たちはドリンクバーからとってきたグラスをかち合わせた。


「東山(奈々)ってバレー部だよね?」
「そう!アタッカーだよ☆」

「山崎さん(春佳)、休みの日なにしてんの?」
「うーん、ゲームとか…」


さすが長崎くんの友達。
息をするようにコミュニケーションをとっている…!

匡とは大違いだな。


「おい都」

「へ」


ボーッとしてたところだったから驚いた。


「飯は?決めた?」

「あっまだ!」

匡から差し出されたメニューを受けとる。

あれ?
ていうか…

「どうして私の前に匡が座ってるの?」

「流れ」

「ちょっと!
それじゃあ他の男子と話せないじゃん!」

小さい声で匡に文句を言う。

合コンってまずは向かいの席の人と話すものなんじゃないの?
少女漫画で得た知識だけど…

「あとで席替えするだろ。」

「あ、そっか…」

私は少し落ち着きを取り戻し、
手元のジュースで喉を潤した。

麗香の前には長崎くん。
楽しそうに話している。

「都、合コンでステーキ食う気かよ。」

「えっ!」

メニューを見ると、肉肉しい写真が全面にあるページだった。

「ちがうよ!たまたま!」

「合コンより先にダイエットしたらどうだよ」

「失礼な!」

「ハハッ」

もう…子供みたい…。

「フフ…」

まぁいっか。

時間はたっぷりあるんだし、
私は匡と話すのが好きだ。

この時間も大事に過ごそう。