「間下って、数学得意?」
「え…うーん、あんまり。」
「ここ、わかる?」
向かい側に参考書の向きを変え、
わからない問題を聞いてみる。
「ああ、これならわかる。」
「ほんと!?」
私は長机を回り、間下の隣に立った。
「教えてくれない?」
間下は私の方を見て、パッと目をそらした。
「…ここを、こうして…で、代入。」
「なるほど!ありがとう。」
「……。」
「間下?」
「近衛、人から距離近いって言われない?」
「え、そんなことないけど…。」
「そっか。」
間下は笑顔で私に参考書を差し出した。
参考書を受け取り、小走りで向かいの席に戻る。
どういう意味だったんだろう…。
空気を読むのは得意なはずなのに、
今の間下の笑顔からは何も察することができなかった。



