「藤堂様。我が家には、玲子よりも気立ての良い娘、舞香がおります。花嫁ということでしたら、舞香の方がよろしいかと存じます。それに、あいにくではございますが、玲子には既に縁談が進んでおりまして……」
鼻息荒く、実の娘を売り込もうとする百合絵に、将吾は冷ややかな目を向け、じろりと睨みつけた。
「榊原殿。奥方は、まだご老体というにはお若く見えますが……耳が遠いのですか?
先ほど、縁談は白紙にと申したはず。お聞き逃しでしたか?」
皮肉のきいたその口調に、百合絵は悔しさをにじませて唇を噛みしめる。
慌てた隆之が、妻の失態を取り繕うように口を開いた。
「失礼いたしました。愚妻の早とちりでございます……。しかし……なぜ、玲子を花嫁にと、お考えなのでしょうか?」
その問いに、将吾は一瞬、逡巡した。
毒入り葡萄酒の件は、まだ捜査中で公にできない。
命を助けられた際に玲子に心を惹かれた……などと本音を語るわけにもいかない。
将吾は、少し笑みを浮かべ、余裕たっぷりに口から嘘を吐き出す。
「高名な占い師に見てもらったところ、我が家に最も相応しい花嫁は、玲子殿だと出ましてね。そのような理由ですから、せめてもの誠意として、納吉もご用意させていただきました」
鼻息荒く、実の娘を売り込もうとする百合絵に、将吾は冷ややかな目を向け、じろりと睨みつけた。
「榊原殿。奥方は、まだご老体というにはお若く見えますが……耳が遠いのですか?
先ほど、縁談は白紙にと申したはず。お聞き逃しでしたか?」
皮肉のきいたその口調に、百合絵は悔しさをにじませて唇を噛みしめる。
慌てた隆之が、妻の失態を取り繕うように口を開いた。
「失礼いたしました。愚妻の早とちりでございます……。しかし……なぜ、玲子を花嫁にと、お考えなのでしょうか?」
その問いに、将吾は一瞬、逡巡した。
毒入り葡萄酒の件は、まだ捜査中で公にできない。
命を助けられた際に玲子に心を惹かれた……などと本音を語るわけにもいかない。
将吾は、少し笑みを浮かべ、余裕たっぷりに口から嘘を吐き出す。
「高名な占い師に見てもらったところ、我が家に最も相応しい花嫁は、玲子殿だと出ましてね。そのような理由ですから、せめてもの誠意として、納吉もご用意させていただきました」


