家族に蔑ろにされているとはいえ、仮にも男爵令嬢であり、まだ十八歳だ。それをお金があるからと言って商家の、それも、祖父と言ってもおかしくない年齢の吉壱に嫁がされるのは、あまりにも理不尽な話だ。
継母の百合絵が、どのように言ったのかわからないが、身請けされる遊女のように扱われていいはずもなかった。
堪え難い屈辱に、玲子は思わず声を張り上げた。
「お離しくださいませ!」
手に力を込め、吉壱の胸を思い切り突く。
まさかの反撃に虚を突かれた吉壱は、尻もちをついて後ろへひっくり返った。
玲子はすかさず立ち上がり、襖の方へと駆け出す。
「な、何をするっ!」
吉壱がもつれるように手を伸ばすが、玲子は素早く身をかわした。
その拍子に、壁に掛けられていた額縁がガタンと落ち、その角が吉壱の額を直撃する。
「い、いててっ!」
空中で、少女の幽霊が『えへへ』と玲子に笑顔を向けた。
助けてくれたのだ。
「失礼いたします、ごめんあそばせ」
玲子は襖を開けて、廊下へと飛び出した。
後ろから追ってくる気配に怯え、思わず振り返る。
すると、そこには、少女の霊が吉壱に『あっかんべー』と舌を出していた。
「ま、待て〜!」
吉壱の弱々しい声が背後から響いたが、玲子は振り返ることなく走り去った。
継母の百合絵が、どのように言ったのかわからないが、身請けされる遊女のように扱われていいはずもなかった。
堪え難い屈辱に、玲子は思わず声を張り上げた。
「お離しくださいませ!」
手に力を込め、吉壱の胸を思い切り突く。
まさかの反撃に虚を突かれた吉壱は、尻もちをついて後ろへひっくり返った。
玲子はすかさず立ち上がり、襖の方へと駆け出す。
「な、何をするっ!」
吉壱がもつれるように手を伸ばすが、玲子は素早く身をかわした。
その拍子に、壁に掛けられていた額縁がガタンと落ち、その角が吉壱の額を直撃する。
「い、いててっ!」
空中で、少女の幽霊が『えへへ』と玲子に笑顔を向けた。
助けてくれたのだ。
「失礼いたします、ごめんあそばせ」
玲子は襖を開けて、廊下へと飛び出した。
後ろから追ってくる気配に怯え、思わず振り返る。
すると、そこには、少女の霊が吉壱に『あっかんべー』と舌を出していた。
「ま、待て〜!」
吉壱の弱々しい声が背後から響いたが、玲子は振り返ることなく走り去った。


