その続きを言いかけて、言葉を飲み込む。
ジキタリスは、心臓の薬にもなるが、同時に強力な毒でもある植物。
うっかり口にすれば、命を落としかねない。
庭を見渡せば、スズランやスイセンも植えられている。
一見、鑑賞用の美しい花だが、実は毒を持つ植物だ。
将吾が振り返り、玲子の顔を見て問いかける。
「何かあるのか?」
「はい……薬にも毒にもなる花が、色々に植えられています」
将吾は低く唸り、庭の奥を見やった。
「そんな花が……」
「研究熱心な叔父らしい……だが、今は疑わしく感じられるよ」
尚文の言葉に二人は頷いた。
ちょうどその時、屋敷の奥からゆったりとした足音が近づいてきた。
庭を彩る花々に負けぬほどの柔和な笑みを浮かべ、藤堂輝明が姿を現す。
「よく来たね。ワシの自慢の庭を見てくれたかい?どうだ美しいだろう」
その声は柔らかい。けれど、その奥に潜む冷たさを、玲子は確かに感じ取った。
輝明を包み込むような黒い影まで見える。
(あれは、《《悪しきモノ》》)


