明治恋奇譚 〜藤堂様、ミエテマスヨ!~

 将吾と尚文は、顔を見合わせると同時に、扉を激しく蹴り上げ一斉に飛び込む。埃が舞う中、数人のならず者に囲まれた玲子の姿があった!

「その人を離せ!」

 将吾の鋭い怒声が空気を裂く。
 驚いたようにならず者たちが振り返った、その瞬間。
 将吾の軍刀が鋭く閃いた。床板を蹴るようにして突進した彼は、一番手前にいた男の肩口に刃を突き立てる。

「ぐわっ!」

 絶叫と共に男が倒れる。

「尚文!そっちに一人行ったぞ!」

 叫ぶや否や、将吾は次の男に刃を向け薙ぎ払う。

「ぎゃあぁぁ」

 尚文も躊躇なく動いた。

「任せろ!」

 裏口から逃げようとする三人目の男を、長身を活かした体当たりで壁へと押しつける。

「うぐっ」

 そのすきに、縛られていた玲子の腕を将吾が解く。

「玲子殿!」
 
 将吾は玲子の縄を解きつつ、百合絵の姿を探したが、その姿はなく、既にこの廃屋から立ち去った後だったようだ。
 
 視線を慌てて、玲子へと戻す。
 乱れた髪、怯えた瞳。だが、彼女はしっかりと将吾を見つめ返していた。

「……将吾様」