冷酷社長の極上笑顔は私が独り占めさせていただきます

 振り返ると、澤田さんが私の後ろに立っていた。もちろん取り巻きも一緒だ。
 
「えっ?」
「半年前に辞めた社員のご両親のお葬式に行くなんて……ねぇ。秘書の後藤さんに話していないなら、社長と大迫さんはプライベートで会う仲――つまり付き合っている――と考えるのが妥当じゃない?」
 
 澤田さんはみんなに同意を求めるように小首をかしげた。
 急に同僚たちは「そうかも」と澤田さんに同調し始める。

「美男美女で、シゴデキカップル。めちゃくちゃお似合いだ」
「そういえば大迫さんは創業メンバーなのに、ふたりとも社内ではよそよそしかったよね。もしかして付き合っているのがバレないようにわざと……?」
「確かにビジネスライクすぎる感じはあったね」

 みんなが社長と大迫さんを恋人同士だと断定してうわさするのを、私はまるで遠い国の話のように聞き流す。頭がボーッとして何も考えられなかった。