定時に仕事が終わり、休憩室の前を通ると、経理の同僚が「ちょっとしたニュースなんだけど」と特ダネを暴露するように瞳を輝かせて私たちを招集した。
「今朝、社長が急に領収証を持ってきたの。それが……大迫さんのご両親のお通夜に行ったみたいでね」
「えっ!?」
思ったより大きな声が出てしまい、私は慌てて口に手を当てた。
他の人たちも口々に「ご両親の介護って本当だったんだ」と驚きの声を上げる。
「領収証を受け取った私がびっくりした顔をしたせいか、社長が『大迫さんのご両親は事故に遭った』と教えてくれたの。事故はもう何年も前だったみたい。お母様は事故で意識不明になって何年も意識が戻らず、介護されていたお父様も事故の後遺症で半年前に入院されたそうよ」
「それで大迫さんは仕事を辞めたのね」
「うん。お父様のほうが先にお亡くなりになって、その翌日、後を追うようにお母様もお亡くなりになったそうです。それが先週のことだって」
私は口を半開きにしたまま、何も言えずに固まってしまった。
「後藤さん、社長から何も聞いていなかったの?」
経理の同僚が不思議そうな目で私を見る。
「唯子は社長の予定を全部把握しているよね」
他の同僚たちの視線も私に集まった。それは当然だと思う。秘書の私が知らないというのは不自然だ。
でも私はここ一週間、社長とほとんど会話していない。そのせいか何も知らなかった。
「社長のプライベートを知るような仲ではないよ」
私は、さも知らないのが当然だという顔をして言った。
同僚たちは「それもそうか」と納得する。
ホッと胸をなで下ろしたところに、背後から声がした。
「じゃあ、社長は大迫さんとプライベートで会うような仲、ということ?」
「今朝、社長が急に領収証を持ってきたの。それが……大迫さんのご両親のお通夜に行ったみたいでね」
「えっ!?」
思ったより大きな声が出てしまい、私は慌てて口に手を当てた。
他の人たちも口々に「ご両親の介護って本当だったんだ」と驚きの声を上げる。
「領収証を受け取った私がびっくりした顔をしたせいか、社長が『大迫さんのご両親は事故に遭った』と教えてくれたの。事故はもう何年も前だったみたい。お母様は事故で意識不明になって何年も意識が戻らず、介護されていたお父様も事故の後遺症で半年前に入院されたそうよ」
「それで大迫さんは仕事を辞めたのね」
「うん。お父様のほうが先にお亡くなりになって、その翌日、後を追うようにお母様もお亡くなりになったそうです。それが先週のことだって」
私は口を半開きにしたまま、何も言えずに固まってしまった。
「後藤さん、社長から何も聞いていなかったの?」
経理の同僚が不思議そうな目で私を見る。
「唯子は社長の予定を全部把握しているよね」
他の同僚たちの視線も私に集まった。それは当然だと思う。秘書の私が知らないというのは不自然だ。
でも私はここ一週間、社長とほとんど会話していない。そのせいか何も知らなかった。
「社長のプライベートを知るような仲ではないよ」
私は、さも知らないのが当然だという顔をして言った。
同僚たちは「それもそうか」と納得する。
ホッと胸をなで下ろしたところに、背後から声がした。
「じゃあ、社長は大迫さんとプライベートで会うような仲、ということ?」



