電車の向こう側。【完結】











一年前、すべての音が止まったと思っていた。
けれど今、世界のどこかで彼の旋律が響いている。





カフェの窓辺で、未来はスマートフォンの画面を見つめていた。
YouTubeの再生回数は、信じられないほどの数字を刻んでいる。




画面の中では、懐かしい姿がピアノを弾いていた。

黒いシャツに光る指先。少し俯きながら、
優しく鍵盤に触れるその姿——間違いない。結城聖だった。





演奏のタイトルは、一曲目が"時"と二曲目が"電車の向こう側"だった。

ふたりの過ごした日々の記憶を、そのまま音にしたような曲。




世界中のコメント欄に、





“この曲を聴いて涙が出た”

“まるで時を越えて誰かを想うような音”

"エモいー!"

"ドキドキした!"

と書かれているのを見て、未来は小さく笑った。







「……やっぱり、聖の音は世界を変えたんだね。」


カップの中のカフェラテから、ふわりと湯気が立ち上る。