電車の向こう側。【完結】







コンサート当日。







ホールの照明が落ちる。
静寂の中に、ピアノの最初の音が響いた。





——"月の光と私"






未来の胸が強く締めつけられる。

涙が頬を伝う。

理由はわからない。
でも、この音だけは、知っていた。







世界が静止したような感覚の中、
未来は心の奥で誰かの声を聞いた。







——「未来…!」






音が終わると、拍手が沸き起こった。
未来は涙をぬぐいながら立ち上がった。