電車の向こう側。【完結】






沈黙が落ちた。
そのとき、窓の外の空が大きくひび割れた。
破片のような光が降り注ぐ。





「……もう時間がない。」



未来の声が震えた。




「お願い、聖くん。行こう!」




聖は、静かに目を閉じた。
そして、ゆっくりと息を吸い込み、言った。





「……もし、戻れなかったら…。」



「そんなことない。私は、聖くんと行きたいんだよ!
だって——私は、“進みたい”って決めたから。」





聖は未来を見た。



彼女の瞳の奥に、まっすぐな光があった。
それを見た瞬間、聖の中で何かが音を立てて崩れた。





「はぁ……わかったよ。俺の負けだ。お前がいう、未来を信じてみるよ。」




聖は立ち上がった。






「未来がそこまで言うなら、俺も、もう逃げない。」






未来はほっと息をついた。




「聖くん、ありがとう。」

「でも、もしまた俺が——。」


「そのときは、今度は私が絶対に迎えに行く。
聖くんの本当の"音"を見つけ出して、助けにいくから!」




聖は目を見開く。

未来はそっと微笑んだ。

それは、どんな音よりも柔らかく、美しい微笑みだった。