朝、目を開けると、また十月九日だった。
時計の針も、カーテンの隙間から射す光も、
昨日とまったく同じ。
——もう驚かなかった。
未来は静かに制服に袖を通した。
鏡に映る自分の顔も、昨日と同じ表情で笑っていた。
けれど、その瞳の奥に映る景色だけは、少しずつ違って見えた。
「……今日も、同じ一日の再生か。」
未来は呟くと、鞄を肩にかけて家を出た。
学校は、まるで舞台のセットのようだった。
同じセリフ、同じ動き。
昼休みになっても、誰も話す内容が変わらない。
その中で、未来だけが違うリズムで呼吸していた。
そして、放課後。
未来はまた音楽室に向かった。



