電車の向こう側。【完結】






放課後。







未来は昨日の音楽室へ向かった。

昨日、結城聖がいた場所。

あの冷たい瞳の青年。
もう一度確かめたかった。






扉を開けると、彼はやはりそこにいた。

ピアノの前に座り、静かに鍵盤を見つめていた。








「はぁ…また来たのか?」
顔を上げずに、彼が言った。







「昨日……話、途中だったから。」

「俺は話なんてないよ。」

「でも、あなたは——っ!」





未来の言葉を遮るように、聖は鍵盤をひとつ叩いた。

透明な音が、部屋の中を震わせる。







「ここは、“本物の世界”じゃない。」



「……え?」


「お前も気が付いてるんだろ?俺も最初、気付かなかった。でも、違う。ここにいる人たちは全部、作られた存在なんだ。」





未来の呼吸が止まった。