電車の向こう側。【完結】




「茉希……?」

「なに? どうしたの? そんな顔して」

「えっと……一昨日のこと、覚えてる?!」

「昨日? 何かあったっけ?」

「その……私たち、ちょっと喧嘩したじゃん?!」






未来がそう言うと、茉希は目をぱちぱちと瞬かせた。



「え? 喧嘩? 私たちが? またまたー、冗談でしょ?」

「冗談じゃないよ。本当に——、」



「未来、ちょっと疲れてるんじゃない?



茉希は笑って未来の肩を軽く叩いた。



「なんか寝ぼけてるんでしょ。ほら、早く行こ!遅刻するよ!」






未来は言葉を失った。



一昨日の言い合いの記憶が、頭の中に甦り、くっきりと残っているのに。



茉希はそれを、まるで最初からなかったように笑い飛ばす。





“これは夢? それとも——”