電車の向こう側。【完結】








目を開けると、柔らかな光がまぶたの裏を染めていた。
カーテンの隙間から差し込む陽の光は、いつもの朝と変わらない。

時計の針は七時二十分を指していて、アラームの電子音がどこか遠くで鳴っている。






「……あれ?」





未来はゆっくりと身を起こした。

いつも通りの部屋。机の上には昨夜読んだ小説が伏せられ、
壁にはお気に入りのアーティストのポスター。

すべてが“いつも通り”だった。
だけど、胸の奥で何かがひっかかっていた。




——昨日、何があったんだっけ?






記憶の底に霞がかかっている。
電車、そう、金色の電車に乗ったはずだ。
でもその先が思い出せない。