電車の向こう側。【完結】





未来は、帰り道の駅のホームに立っていた。

 15時を少し過ぎたばかりだというのに、人影がなかった。







 「……おかしいな。」







 改札を振り返っても、誰もいない。
 空気が少し歪んでいるように感じた。





 カタン、と線路の奥で音がした。






 ——そして。







 金色の電車が、音もなく現れた。

 夕陽を溶かしたような輝き。

 風が巻き起こり、未来の髪をふわりと揺らした。








 「……また、あれ」






 息を飲む。

 ゆっくりと開く扉。

 その中に、朝いつも見かけていた老夫婦の姿があった。
 二人は穏やかな笑みを浮かべ、手をつないだまま乗り込んでいった。