カフェの窓際の席。
未来はストローをいじりながら、外の街を眺めていた。
「ねぇ茉希、こうやって見るとさ……世界って、ちゃんと動いてるんだね」
「なにそれ。詩人みたい」
「いや、なんか……結城聖のニュース見てから、変な気分で。」
「うん。」
「同じ空気を吸ってる人が、急に“遠く”に行っちゃう感じ。
でも、街は普通に動いてて、みんな笑ってるし。」
「そういうもんじゃない?」
「そう、なんだけど……それが、ちょっと怖い。」
茉希はカップを持ち上げて、ふっと笑った。
「未来さ、やっぱ考えすぎだよ。
でも、そういうところがあんたのいいとこだけどね。」
「なにそれ。」
二人は同時に笑った。
笑いながらも、未来の胸の奥には、言葉にならない空洞が広がっていた。



