電車の向こう側。【完結】


暫くして、またスマホの通知音がなり、




 未来はベッドの上でスマホをチェックした。

 新しいニュースサイトからの通知では、また結城聖の特集が載っている。






 〈若き天才、次の挑戦は?〉





 コメント欄には「神」「天才」「奇跡」なんて言葉が並んでいた。






 未来は画面を閉じた。

 特別な人ほど、遠くに感じる。

 まるで、自分とは別の世界の住人のように。






 部屋の明かりを消すと、暗闇が静かに広がった。

 イヤホンを耳に差し込み、また「月の光と私」を再生する。










 ピアノの音が、心の中に落ちていく。
 静かに、ゆっくりと。





 ——この音の向こう側に世界がある。

 ふと、そんなことを考えてしまう。

 会ったこともないのに、なぜか、懐かしい音色。








 呟きながら、未来は目を閉じた。

 まぶたの裏で、金色の光が揺れた気がした。