「それだけか?」
「ええ」
「そうか……あまり効果が無さそうな印象だな」
「手の尽くしようがないから、あとは自力でなんとかしてくれと言われたわ」
「そう言って見捨てられたわけか」
「……そうね」
呪われる前は稀代の聖女なんて呼ばれていたことを遠く感じる。
「女神の祝福も加護もあって、ついでに魔神に呪われている聖女か」
マリジェッダはまた何か考えている。
エルーナはそれをじっと見つめる。
マリジェッダは陰キャと呼ばれる割に言葉遣いが偉そうだ。
その言葉遣いと仕草から貴族令息だろう。
「魔神に呪いをかけられた時のことを聞いてもいいか?」
「ええ、確か女神様が消えたあと、床から黒いモヤが立って、その中から骸骨みたいな魔神が現れて大鎌を振ったのよ」
「それでよく生きていたな」
「そうね。思いっきり斬られたはずなんだけど体はなんともなかったわね」
エルーナはそれで何かを斬られたのだ。
「その日からヘドロが出るようになったのか」
「そのヘドロって言い方やめない? 臭く無いし、スライムとかあるでしょ」
「出してみろ。スライム」
マリジェッダは意見されるとすぐ直す、素直で飲み込みは早いようだ。
エルーナはベンチと銀杏の木から離れて手を出した。
黒いモヤが立つ。黒いモヤが丸くなり、そのモヤから紫のスライムが生まれた。
一部始終を観ていたマリジェッダは口を手で隠し、肩が震えている。
「ちょっと、笑っているでしょ!」
「ああ、ああすまない」
「それで? 何かわかった?」
「わからないけど、面白いな」
エルーナには何が面白いのか全然わからない。
スライムが溶けだした。
「聖女と言うより魔女だな。他に変わった事はないか?」
「そうねぇ。あとは泣かなくなったくらいかしら。涙が出ないの」
「涙か……んー」
マリジェッダは背伸びをした。
「その特徴も魔女っぽいな」
「え? 私、魔女になったの? 何でわかるの?」
エルーナは疑問でいっぱいになった。
「この国にはいないがレーノルザンは魔女がいるからな」
「なるほど」
「冬休みに魔女に見てもらうためレーノルザンに来るか?」
「良いの?」
「その代わり条件はあるけどな」
「何?」
「……婚約者としてレーノルザンに行くことになる」
「衝撃的ね」
一緒に呪いを解く方法を考えてくれるのなら、そのくらいの偽装婚約はしても良いだろう。
「そのくらいは良いわよ」
エルーナは即答した。
「ええ」
「そうか……あまり効果が無さそうな印象だな」
「手の尽くしようがないから、あとは自力でなんとかしてくれと言われたわ」
「そう言って見捨てられたわけか」
「……そうね」
呪われる前は稀代の聖女なんて呼ばれていたことを遠く感じる。
「女神の祝福も加護もあって、ついでに魔神に呪われている聖女か」
マリジェッダはまた何か考えている。
エルーナはそれをじっと見つめる。
マリジェッダは陰キャと呼ばれる割に言葉遣いが偉そうだ。
その言葉遣いと仕草から貴族令息だろう。
「魔神に呪いをかけられた時のことを聞いてもいいか?」
「ええ、確か女神様が消えたあと、床から黒いモヤが立って、その中から骸骨みたいな魔神が現れて大鎌を振ったのよ」
「それでよく生きていたな」
「そうね。思いっきり斬られたはずなんだけど体はなんともなかったわね」
エルーナはそれで何かを斬られたのだ。
「その日からヘドロが出るようになったのか」
「そのヘドロって言い方やめない? 臭く無いし、スライムとかあるでしょ」
「出してみろ。スライム」
マリジェッダは意見されるとすぐ直す、素直で飲み込みは早いようだ。
エルーナはベンチと銀杏の木から離れて手を出した。
黒いモヤが立つ。黒いモヤが丸くなり、そのモヤから紫のスライムが生まれた。
一部始終を観ていたマリジェッダは口を手で隠し、肩が震えている。
「ちょっと、笑っているでしょ!」
「ああ、ああすまない」
「それで? 何かわかった?」
「わからないけど、面白いな」
エルーナには何が面白いのか全然わからない。
スライムが溶けだした。
「聖女と言うより魔女だな。他に変わった事はないか?」
「そうねぇ。あとは泣かなくなったくらいかしら。涙が出ないの」
「涙か……んー」
マリジェッダは背伸びをした。
「その特徴も魔女っぽいな」
「え? 私、魔女になったの? 何でわかるの?」
エルーナは疑問でいっぱいになった。
「この国にはいないがレーノルザンは魔女がいるからな」
「なるほど」
「冬休みに魔女に見てもらうためレーノルザンに来るか?」
「良いの?」
「その代わり条件はあるけどな」
「何?」
「……婚約者としてレーノルザンに行くことになる」
「衝撃的ね」
一緒に呪いを解く方法を考えてくれるのなら、そのくらいの偽装婚約はしても良いだろう。
「そのくらいは良いわよ」
エルーナは即答した。

