呪われて謎のスライムしか出せなくなった聖女の進路先

お昼をベンチで食べるエルーナ。

「一人ランチか、わびしいな」

昨日の瓶底眼鏡くんだ。

「……何か用かしら?」
「別にぃー」

瓶底眼鏡くんは本を読み、エルーナは昼食を取る。
休憩時間、二人は無言で別々の事をした。
特別授業のために教室を移動中、エルーナは思う。

(変なのになつかれたわね)

瓶底眼鏡くんはスチュアート・マリジェッダという名前らしい。

(マリジェッダ……変な名前ね。留学生かしら?)

エルーナは首を振った。

(気になったら負けだわ)

特別授業は隣のクラスと合同らしい。
いつもの教卓の右前の席に座った。

「ちょっと元聖女さん?」

エルーナは気に入らない称号で呼んできた女子生徒を無視した。

「そこは私たちの席よ」

三人の女子が絡んできた。

「やめたほうが良いよ」

味方か敵かマリジェッダが女子生徒に話しかけてきた。

「ヘドロまみれにされるよ」

どうやらエルーナの敵のようだ。

「あの紫のドロドロ? こわーい」
「もうそこには座れないわね」
「あっちにしましょ」

女子たちは楽しそうに去っていった。

マリジェッダはエルーナの隣に座った。

「なぜ隣に座るの?」
「さぁ? なんでだろー」

エルーナはそれ以上は突っ込まず、先生が来るのを待った。
それから授業に集中した。


「陰キャ同士で仲良くしてるな」

教室へ帰っている時、エルーナの恐れていたことが起きた。空気の読めない男子三人がからかいに来た。

「二人、付き合ってるの?」
「イズン、ガリ勉に乗りかえたのか!」
「尻軽だな」

エルーナから去っていたのは向こうだ。

「おい、お前ら。イズンは尻軽じゃない」

エルーナはマリジェッダのエルーナを庇うような発言に驚く。

「ゼストに逃げられただけだ」

男子たちは爆笑した。
庇うようで庇っていない発言に呆れた。それに、何が面白いのかエルーナにはわからない。

「じゃ、仲良くなぁ!」

飽きたのか男子たちは去っていった。

「あれは何がしたいの?」
「気にするな。放課後、話せるか?」