呪われて謎のスライムしか出せなくなった聖女の進路先

手紙を開けると不採用の通知だった。文末で健闘を祈られた。
エルーナはまた聖女に成り損ねた。
魔神に呪いをかけられてから力が発揮できない。がっくり肩を落とす。

学園の銀杏並木を歩いていると、ひそひそ話が耳につく。

「あれがエルーナ? ずいぶん落ちぶれたわね」
「最高峰の聖女なんて呼ばれて調子に乗るからよ」
「しっ! 聞こえるわよ」

クスクス笑い声がする。

(はい……しっかり聞こえています……私、調子に乗っていたのですね知りませんでした、はい)

誰もエルーナに近づく者はいない。

エルーナが神聖力を発動しようとすると黒いモヤが立つ。もっと力を込めれば紫色のスライムが誕生する。
エルーナは魔神に呪いをかけられ、スライム製造機になった。

スライムはずぶずぶと音を立てて溶けている。
エルーナはその光景を見て心が折れた。

学年で一番人気の男子と良い感じだったのもエルーナがこうなってから、もう過去の栄光となった。
死んだ眼でスライムだった紫の水溜まりを見つめる。

呆然としていると、ズルッっと嫌な音を立てながら水溜まりで転ぶ、男子生徒がいた。

「うぁぁーー!」