雷の道「十五年ぶりの故郷で、初恋の彼女と再会した六日間」 ──記憶と現在が交差する、静かな再生の物語。

窓を開けると雨のにおいが車内を満たした。
湿気を帯びた気体は僕にまとわりついた。
深く息を吸った。
肺がいっぱいに満たされた。
それらを吐き出すと少し落ち着いた気持ちになれた。

遠くから風の音がして庭の木々が左右に揺れた。
雨が迫っている。
もうそこまで。
建物に目をやった。
庭にある外灯が壁を照らしている。

外壁は塗りなおしたばかりだ。
古くはあるがしっかり手入れしている。

いくつかの窓から明かりが漏れている。
カーテンが揺れる。
美沙岐の影が踊る。

僕は身を乗り出す。
エンジンを切りドアを開ける。
一層湿った空気が僕に絡まる。

外に出て大地を踏みしめる。
鉄の門を握りしめる。
硬質で冷たい感覚が伝わってくる。

一本の道が玄関へと続いている。
木々がざわざわと音をたてる。
メロディーが聞こえる。
ハーモニカ。
ピアノの旋律。
ブルースの声。
稲光が道を照らす。

サンダーロード。