雷の道「十五年ぶりの故郷で、初恋の彼女と再会した六日間」 ──記憶と現在が交差する、静かな再生の物語。

「二人とも若い。中学生ね。
この写真の自分に何か言ってあげるとしたら何て言う?」

僕は小夜子さんの持っていたスナップを手に取った。

美沙岐に絶望的に恋をしていながら、なすすべもなくただ無力で戦うことを全放棄したような表情の僕。

「機会は巡ってくる。今じゃない、ですかね」

「今も彼女に恋をしてるのね」

「どうやらそうみたいです」

「遠くに来てしまったけど、それでも今、あるもの。それが全てよ」

「昔はとてもシンプルだったけど、今は状況も自分自身も複雑になりすぎて、どこから手をつけていいのか」

「状況はとても単純よ。目の前に女が居る。生身の生きてる女が。それだけよ」

「そうですね。彼女は生きている」

 結局僕は、十五年という長い間、壁の外側に逃げ出していたんだ。
今更その中に入って、とやかく言う権利はない。
物事は絶え間なく動いていたって事さ。
僕抜きで。

外に出ると雷鳴が遠くから聞こえた。
僕はクルマを出した。
行くべき場所は一つしかない。

行くべき場所は最初から決まっていたんだ。