雷の道「十五年ぶりの故郷で、初恋の彼女と再会した六日間」 ──記憶と現在が交差する、静かな再生の物語。

「どうしたの?」と小夜子さんは言った。
僕はコーヒーカップに視線を向けた。
縁取りが青かった。

「ちょっと考え事をしてました」

「昔の想い出にひたってた?」
僕は首を振った。
そしてコーヒーを飲んだ。
味がしなかった。

「ミサって何歳ですか?」

「十五歳のはずよ」

「いつから、ここに出入りしてるんですか?」

「最近よ。確か中学校の卒業の時じゃなかったかな。
母親と一緒に。
それからたまに来るようになったの」

「美沙岐に会ったことがあるんですね」

「一度だけね。ミサにはあまり似てなかったな。
父親似なのね、きっと。美沙岐っていうのね。彼女」

そういうと、小夜子さんはさっきのスナップ写真を手に取ってじっくりと見た。