雷の道「十五年ぶりの故郷で、初恋の彼女と再会した六日間」 ──記憶と現在が交差する、静かな再生の物語。

最初はね、それでも平気な顔をして登校してたんだけどね、加奈子は絶対に高校を辞めちゃだめだよって言い残して、突然、学校に来なくなったの。
音信不通になって退学届けが出されて私が高校卒業した後、ふらって帰って来たの。
謝ったわ。
何度も何度もね。
でも加奈子のせいで辞めた訳じゃないからって。
そんなの嘘に決まってるって思ったけど。
それからしばらく一緒に働いたわ。
小さなスナックでね。
でもさっき話した通り何故居なくなったのか、最後まで教えてくれなかった。
聞かない約束をしたの。
それは未だにそのまま。
美沙岐はスナックのバイトを半年くらいで辞めて、実家の手伝いをしてたみたいだったけど、その後大阪に行ったの。
きっとね、私の事が心配で一緒に働いてくれたんじゃないかなって思ってる。
それでもう大丈夫って思って、自分のやりたい事、始めたんだろうね。
ジュン、私を嫌いになっていいわ。
嫌われたくなかったからさっきは嘘をついちゃたけど、やっぱり私は最低な女ね。
いくつになっても最低だわ。
あんないい子はいないわ。
美沙岐の事、大事にしてあげてね」