雷の道「十五年ぶりの故郷で、初恋の彼女と再会した六日間」 ──記憶と現在が交差する、静かな再生の物語。

僕達はアルミ製のテーブルに向かい合って座った。
酒に酔ったちょっと危ない女とその女友達に恋をしている三十代の男。
世の中から取り残された誰も知らない辺鄙な場所で、僕がこれまで生きてきた中で一番大事な話が今、語られようとしていた。


「さっきは嘘をついて、ジュンを混乱させちゃってごめんなさい。
突然だったからかな。
お酒も入ってたし。
割とお酒、強いんだけどね、あまり寝てなかったからかな。
言い訳ね。
見苦しいね。
ジュンが私に会いたがっているって知ったとき、なんとなくわかったの。
私に求めているものが。
でも素直になれなかった。
まだ残っているのかな。
本当の事を言うね。
美沙岐と坂本さんが付き合い始めてしばらくたって私も坂本さんと付き合い始めたんだ。
美沙岐には内緒でね。
私の一方的な片思い。
でも結局はするだけの女だったのよね。
それで妊娠したのが私。
部活でバスケやってて気分悪くなって美沙岐に介抱されて、わかっちゃったの。
あの子、昔から勘が鋭かったし。
だから坂本さんとの子供だって美沙岐に言ったの。
美沙岐は最初びっくりしてたけど、逆に謝られちゃったわ。
加奈子を傷つけるなんて許せないって。
美沙岐に産みたいのって聞かれて、その時私、真剣に考えたの。
坂本の事が本当に好きかって。
その時はよくわからなかったけど、あとから冷静になって考えたらね、結局は好きでも何でもなかったのよね。
美沙岐に坂本を取られて悔しかっただけなのよ。
そういう気持ちがね、心のどこかにあったの。
だからおろす事にしたのよ。
そしたらね、美沙岐は坂本に責任を取らせるって言いだして彼のところに行ったの。
そして手術の費用を出させた。
それで本当は丸く収まるはずだったんだけどね、
坂本はそのお金を後輩にカンパさせてたの。
俺の女が妊娠したから金を集めろ、みたいなね。
当時の坂本はそういう顔だったのよね。
そして噂が広まったの。
美沙岐が妊娠して子供をおろしたって。