雷の道「十五年ぶりの故郷で、初恋の彼女と再会した六日間」 ──記憶と現在が交差する、静かな再生の物語。

「再会して、一週間も経ってないんだ。しかも予定にない再会だった。本当に偶然だったんだ。まさかこの町で会うなんて思ってもみなかった。でも心のどこかでずっとこのタイミングを待ってたのかな。わからない。わからないことだらけなんだ。わかっているのは小学校の頃から美沙岐が好きだった事だけだ。中学校の時もずっと。それはシンプルなものだった。わかりやすくて単純だった。ただどうして良いのかわからなかった。どう進めて良いのかも。あの頃の美沙岐は僕にとって大き過ぎたんだ。高校に進学して、他の女の子と付き合い始めた。そしてその頃の想いは薄れて行った。簡単に言うと忘れてしまった。高校三年の卒業も間近の頃、僕はその恋人の裏切りにあった。かつて担任だった先生ともつきあってたんだ。僕はショックを受けた。とても傷ついた。それ以来僕は恋人が出来ても距離をとってつきあうようになった。立ち入れない壁を作った。その方が冷静に恋愛が出来た。そして冷静にその恋愛を終わらせることができた。ここへ帰って来るまではその繰り返しだった。気に入った女の子と付き合って、寝て、別れる。それが当たり前になっていた。この歳まで」

「随分な手痛い仕打ちに合ったのね。しかも高校生の時に。でもそれはよくあることよ。だいたい男と女なんてある意味だましあいみたいなものだから。本当の事よりも嘘の方が多いわ。女は大勢いる男のなかから誰か一人を選ばないといけない。より良いオスを探さなくてはいけない。遺伝子的にね。だから嘘が生まれる。呼吸をするみたいに自然に出てくる。女はそういう生き物よ」