雷の道「十五年ぶりの故郷で、初恋の彼女と再会した六日間」 ──記憶と現在が交差する、静かな再生の物語。

「ああ、小学六年だったな。ませたガキだった」

「加奈子と美沙岐と俺達で行ったな。ピクニック。健全な遊びだった。あれは加奈子が言い出したんだぜ。ジュンと遊びに行きたいから四人で行こうって」

「そんな昔のいきさつをよく覚えてるな」

「俺は加奈子の事が好きだったんだ。だからよく覚えてる。ショックを受けた。子供ながらに傷ついた。よりによってジュンだからな」

「俺は美沙岐の事が好きだった。中学の時もずっと」

「なかなか上手くいかないものだな。特に子供の頃は。美沙岐と言えば、さっき話した坂本さんと色々あったらしいな」

「色々って?」
「知らないのか?」

「俺は一週間前に帰省したばかりなんだ。高校卒業して十五年ぶりに」

「それはそれでびっくりな話だな。なんでそんなに永くここを離れてた?」

「ここに帰りたくない事情があったんだ」

「何があった?」

「それはあとでゆっくり話すよ。それよりもその坂本さんと美沙岐の事が気になる」

「まあ、そうだろうな。でもこれは聞いた話だ。直接知ってるわけでもないし、ましてや美沙岐から聞いた話でもない。美沙岐とは中学校を卒業してから会ってもない。その程度の信ぴょう性というのかな」

「ただの噂話かもしれない、という訳だ」

「まあ、そんなところだ。坂本さんというのは俺達よりも二つ上の先輩なんだ。ただ小学校も中学校も俺達とかぶってない。工業高校を卒業して地元の工務店に就職した。社会人になってからも坂本さんはかなりの悪だったって話だ。暴走族を先導しやくざとも繋がりがあった。そして美沙岐が高校三年の時につきあい始めた。あいつの家は工務店だっただろ?そういう繋がりがあったのかもしれないな。まあ、そんな話だ」

「それだけか?」と僕は言った。

「それだけだと良かった」とアツシは言った。

「つきあって、どうなった?」