雷の道「十五年ぶりの故郷で、初恋の彼女と再会した六日間」 ──記憶と現在が交差する、静かな再生の物語。

「だけどまさかおまえと仕事の話をする日が来るとはな。びっくりだよ」とアツシは言った。

「ほんとだな。小学生の頃はよく遊んだけどな。中学生になったらアツシは勉強ばかりしてただろ?」

「おまえは部活ばっかりやってたな。よく体育館でみかけた。塾に行く前に」

「それほど真面目にやってた訳ではなかったけど、バレーを続けてよかったと思ってるよ。体力も筋力もついた。だいぶ筋肉は落ちだけど、今でもなごりくらいはある」

「俺は全然だめだ。見ての通り。食べれば食べるほど太る。怠け者なんだ」

「その分、知恵をだしてるでしょ」と洋介が言った。
アツシは含み笑いをしながら
「この話は俺がまとめる。一年以上関わってるから事情もわかってる。少し時間はかかるかもしれないが方法はある。その時はよろしく頼むよ」と言って洋介と握手した。

「一度、坂本さんに会わせてくれないか」と僕は言った。

「もちろん。直ぐにでも会ってもらいたい」

「じゃあ、俺、次があるから」と言って洋介は出て行った。

「忙しい人だ」と言ってアツシは笑った。

「市役所と実家の家業をかけもちしてるんだ。まあ次期不動産屋の社長だよ。結婚するって言ってたから、そろそろ腰を落ち着けるのかもしれないな」

「どういう知り合い?」

「高校の時の同級生だよ。よく一緒に勉強した。カップル四人で」

「それはうらやましい話だな。俺は実家を出て高校の寮に入ってひたすら勉強漬けだった。雲泥の差だ」

「今、取り戻しただろ」

「いやいや、まだこれからだよ。随分失敗もした。痛い目にもあった。子供の頃には考えられない事がたくさんあった。子供の頃がよかった。安全で安心だ。誰かが守ってくれる。失敗しても取り返しがつく。そう言えば、俺達も四人で遊びに行った事があったよな。小学生の頃」