雷の道「十五年ぶりの故郷で、初恋の彼女と再会した六日間」 ──記憶と現在が交差する、静かな再生の物語。

週末のブロンズは、開店と同時に盛況だった。
席を埋め尽くすというのを初めてみた気がする。
ここへきて一週間近くたつけど閑散とした風景しか見たことがなかった。
それが普通だった。
ずっとそうなのかと思っていた。
でもそうではなかった。
次から次へとなだれ込むように客が入ってきた。

割と広めのテーブルを僕一人で占領していることに段々と肩身の狭さを感じてきた。
洋介から三十分遅れると連絡があった。
じりじりとした時間が流れた。
隣の若いカップルが僕の方をちらちらと見始めた。
狭い場所でくっつきあいながら語り合うことに飽き始めたころなんだ。
でもそれは僕のせいじゃない。
そんなふうに僕を責めたって何の解決にもならない。
もう他に空いている席が無い、というタイミングで洋介が入ってきた。
いつものスーツと違いラフな格好で。

市役所は土曜日、休みなんだ。
後ろからもう一人、スーツを着た男性が入ってきた。
有力な情報を持っているはずの男。
小柄で太っているけど暗くて顔がよく見えない。
明るい場所に来ると照明の光が逆光になって更にわからなかった。
洋介は男を僕に紹介しようとテーブルの前に立った。
僕は立ち上がった。
そこでようやく男の顔が見えた。

アツシ。
小学生の頃、ガリガリに痩せてガイコツと陰で言われていたアツシだ。
縦よりも横に大きく成長していた。

「ジュン、ひさしぶり」とアツシが先に言って手を差し出した。
洋介は、え?という顔になり
「なんだ、知り合いかよ」と拍子抜けしたように言った。

「中学まで同じ学校だった」と僕は言った。

「高校は別だったけどな」とアツシは言った。

「とりあえず座って飲もう」と洋介が言って手を上げた。

いつものバーテンが注文を取りに来た。バーテンはアツシの顔を見ると頭を下げた。

「知り合い?」と聞くと、バーテンは「ええ」と言いアツシは「俺、ここのオーナなんだ」と言った。

洋介は「聞いてないよ」と言い、アツシは、まあまあ、という仕草をして

「そもそも、おまえたち、どういう知り合いなんだよ?」と僕は言った。

「ここ半年くらいかな、こっちで仕事の話があって、それで不動産屋を紹介してもらったのが縁の始まりかな」とアツシは言った。

「どんな仕事をしてるんだ?」