後ろから声がした。
子供の声だ。
振り返ると美沙岐が居た。
小さな子供と手を繋いでいる。
デパートの制服ではなくラフな格好で。
子供を見ていた顔を上げ僕と目が合った。
笑っても怒っても驚いてもいない。
その曖昧な表情は僕に何を投げかけているんだろう?
僕の方へ近づいてきた。
この場から逃げたかった。
来るべきではなかったんだ。
なのに僕は、美沙岐と子供が近づいてくるとその前でしゃがみ膝までついて「こんにちは」と言って子供の頭をなでた。
男の子は少し怖がって美沙岐の手をしっかりにぎり、美沙岐も困った顔になって「ごめんね、この子、人見知りなのよ」と言って抱きかかえた。
僕は「いくつなの?」と聞いた。
男の子は不安げな顔で、それでも三本の指を僕に向けた。
三年前。
僕は何をしていた?
東京に居た。
退屈な空の下で仕事に忙殺されていた。
毎日毎日、くだらない依頼と打合せ、会議。
意志に反して無価値なものを作り続けていた。
そうする事に何の疑問も持たなかった。そ
れが当たり前なのだと思っていた。
でも同じ時期に、同じ時間に、美沙岐は生命を宿し、産み、育てていたんだ。
「驚いた?」と美沙岐は言った。
僕はうなづいた。
「可愛いでしょ?加奈子の子よ」と美沙岐は言った。
子供の声だ。
振り返ると美沙岐が居た。
小さな子供と手を繋いでいる。
デパートの制服ではなくラフな格好で。
子供を見ていた顔を上げ僕と目が合った。
笑っても怒っても驚いてもいない。
その曖昧な表情は僕に何を投げかけているんだろう?
僕の方へ近づいてきた。
この場から逃げたかった。
来るべきではなかったんだ。
なのに僕は、美沙岐と子供が近づいてくるとその前でしゃがみ膝までついて「こんにちは」と言って子供の頭をなでた。
男の子は少し怖がって美沙岐の手をしっかりにぎり、美沙岐も困った顔になって「ごめんね、この子、人見知りなのよ」と言って抱きかかえた。
僕は「いくつなの?」と聞いた。
男の子は不安げな顔で、それでも三本の指を僕に向けた。
三年前。
僕は何をしていた?
東京に居た。
退屈な空の下で仕事に忙殺されていた。
毎日毎日、くだらない依頼と打合せ、会議。
意志に反して無価値なものを作り続けていた。
そうする事に何の疑問も持たなかった。そ
れが当たり前なのだと思っていた。
でも同じ時期に、同じ時間に、美沙岐は生命を宿し、産み、育てていたんだ。
「驚いた?」と美沙岐は言った。
僕はうなづいた。
「可愛いでしょ?加奈子の子よ」と美沙岐は言った。

