雷の道「十五年ぶりの故郷で、初恋の彼女と再会した六日間」 ──記憶と現在が交差する、静かな再生の物語。

「続けるつもりなんだ」
「聞いて欲しいの。じゃないと私、前に進めない」
「どういう意味?」

「あの日で止まってるのよ。四人で会おうと約束した日、ジュンが来なかった日。私が本当の私で居れた場所。あの部屋で他愛のない話をすることが、唯一心許せる場所だった。誠実で汚れの無い大切な時間だった。だからちゃんと許してほしいの。風化した心で許すのではなくて、心のひだで許して欲しい。そしてもう一度、あの輪の中に入って欲しいの」

「あの輪の中に入るという事が許すという事か。その覚悟は無かった」

「私の自己満足なのかもね」
そう言うとエリカの完璧な唇は不完全な僕にその後の結衣の人生を語り始めた。