今日は俺が仕事。運悪く菜月も熱あり。柚月を休ませるか。

「柚月、今日菜月を頼む。」

いつもしていることだ。柚月は文化祭だが仕方ない。

「今日はどうしても行かないと…!」

呆れた。文化祭楽しみたいのか?菜月がいるのに?

「なんでだ?今日文化祭だろ。テストじゃないんだから。」

流石に俺もテストを休ませるなんてことはしない。

「文化祭の劇で主役なの…行かないと…」

目立てない、か?そうだったら自己中心的すぎだろ。

「はあ、あのな、菜月は心臓悪いんだよ。発作起きたら困る。」

柚月は何も言わない。

「代役くらいいるだろ?その子に連絡しろ。」

柚月は黙って俯く。俺の言ってることは正しいだろ?

でも、それでも行きたいんだろう。嫌になってくるな。仕事行くか。

「だってじゃない。俺、行くからな。」

俺は家を出た。仕事中も、柚月のことが気になっていた。

「月斗、どうした。」

俺の同期、本田圭太。柚月の主治医でもある。圭太に今朝のことを話した。

「なるほどな。でも柚月ちゃんにも友達付き合いがあるだろうし…」

それはそうだが、菜月は心臓病なんだ。そっちのけで行くことか?

菜月から着信が届く。

『柚月のご飯、食べたよ。おじや。柚月は私の見てる限りまだ食べてない。』

柚月は家にいる。そのことがわかって、安心した。

ご飯はどっか適当に食うだろ。そう思い、俺は携帯をしまった。

家に帰ったら、柚月は勉強してた。夕飯だけ置いて出て行った。

数十分後に見に行ったら、食べずに寝てしまったらしかった。