私、本田先生のことが好きかもしれない。

そう思ったのは、5回目のカウンセリングの時。

「そうだね。本田が好きだって気持ちが本気なら俺は応援するよ。」

小山先生は心理カウンセラーの資格があるらしい。

「にしても、最近流動食から始めたんだって?」

そう、ながらく点滴で栄養を入れていたから、少しづつ食べる。

胃の痛みはだいぶなくなっていた。

「あんま美味しくないけど、頑張って食べてます。明日からお粥です。」

倒れたあの日から、もう一ヶ月経っている。そろそろ帰りたいな。

「無理はしちゃダメだよ。じゃあ、また今度ね。」

「ありがとうございました。」

先生が出て行ってから教科書を開く。

今は夏休みだが、学校がある期間を一週間ほど休んでしまった。

そこを取り戻すためにも必死で勉強する。

早く退院したいな、と思いながら教科書に向かった。