それからは、喧嘩のことが夢だったんじゃないかってくらい平和な日々だった。

柚月ちゃんも笑顔で、ご飯は未だ食べられてなかったけど、よかった。

ある日、回診に行くと、柚月ちゃんがいない。

トイレかと思って安藤に探してきてもらった。

「先生!柚月ちゃん、吐血してます!」

え?って思った。薬を入れてたから、よくなってるはずなんだけど…

「胃カメラ緊急で入れよう。空いてる?」

「空いてます。ストレッチャーもお願いしますね。」

安藤仕事できるな、じゃなくてどれくらい吐いたんだ?

恐る恐る覗くと、真っ赤な殺人現場みたいに…

「ゴホッ、ごめんなさい、ゲホッ」

かなり吐いてるな。

「今日が初めて?」

すると柚月ちゃんは首を横にふった。

「五日前くらいから…」

やばいな。ストレッチャーに乗せて胃カメラする。運ばれてきた日と同じくらい酷い。

ストレスの原因は入院生活か、それとも…あっ、月斗か?

とりあえず薬を強いのに変更して、柚月ちゃんを寝かせた。