俺は今柚月ちゃんの病室に走っている。

先ほど、月斗から柚月ちゃんと喧嘩したことを聞いた。

月斗の言っていることは事情を知らない人からしたら正しい。

でも俺は事情を知っている。柚月ちゃんが優しい子であることも。

ストレス性胃潰瘍の患者に圧をかけるような言葉、平手。

柚月ちゃんは1人で苦しんでいてもおかしくない。

「柚月ちゃん、入るよ。大丈夫?」

「ヒック、せ、んせ?」

柚月ちゃんの目と頬はひどく腫れていた。

「月斗と喧嘩しちゃったんだってね。ほっぺた見せて?」

柚月ちゃんはされるがまま。月斗、力の限り叩いたな…

「これで冷やしといて。腫れちゃうから。」

「月斗にぃ、私のことなんか必要ないんじゃないかな…」

柚月ちゃんの目には光がない。

「柚月ちゃん、柚月ちゃん。」

なんて声をかけたらいいのかわからない。安藤を読んでこようかな。

俺は安藤に声をかけて医局に戻った。柚月ちゃん、大丈夫かな…