俺は本田圭太。27歳の小児科医。

俺の担当患者の1人、夜宮柚月ちゃんが救急車で運ばれてきた。

柚月ちゃんは俺の同期の妹で、2年前から主治医になった。

なんで運ばれてきたのか、救急で処置が行われる。

えっと、身長153.5cm、体重が…

「は?」

思わず声が出た。体重は29.3kgしかない。

「おお、これはひどいな。栄養失調か。」

先輩医師も苦笑いの痩せこけた姿。

なぜ兄の月斗は気づかなかったんだ?

彼女に栄養剤の点滴をして、月斗に連絡を入れる。

『柚月ちゃんが意識なしで運ばれてきた。栄養失調だとさ。』

『まじ?え、ちゃんと食べてたと思うんだけど…』

いやいや、貧血持ちのお子様に、「食べてたと思う」はないよ。

『なんでちゃんと見とかなかったんだ?菜月ちゃんか?』

柚月ちゃんには双子のお姉さん、菜月ちゃんがいる。

『柚月はしっかりしてるから大丈夫かなって。』

そういう問題じゃないのよ月斗さん…

『菜月も今体調悪いからいけない。柚月を頼んだ。』

続けてメッセージが来る。

なんかもう呆れた。俺は柚月ちゃんが起きるのを待つことにした。