芳沢くんは私に堕ちない


「え……なんか、園田さんテンション低くない?」

その声に、ふたたび私もチラッと視線を向ける。

「芳沢くんも困ってそうな感じ。まさか……あの園田さんが、振られた?」

園田さんはしばらくその場に立っていたけど、うつむいたまま校舎の方へ歩いていった。

モデルの仕事をしてるだけあって、いつも凛と背筋を伸ばして立っているから、落ち込んでいるという感情がわかりやすい。

芳沢くんは、その背中を見送ってから、横にあるベンチに座り、スマホを触り出した。

「うわ……」

美遥が小さく声を漏らす。

「ほんとに振ったっぽいね」

「園田さんだよ?あんな美人なのに……」

真央も信じられないという顔で窓の外を見ている。

「あの噂、本当なんだね」

「噂?」

真央のセリフに、つい聞き返しまった。
別に……興味ないのに。

「あぁ、恋杏は自分のことにしか興味ないから知らないか。芳沢くん、告白されても誰とも付き合わないって有名なのよ」

うぅ、最初の一言余計だけど。
ふぅん。誰とも付き合わない……ねぇ。