芳沢くんは私に堕ちない


「んー……」

笑顔を作りつつも困ったように声を出して考えていると。

「ちょっと、ふたりとも」

芳沢芹司が穏やかに声を発した。

「星宮さん、困ってるから。普通にグーパーチョキで分けよう」

そう提案した芳沢芹司を見て、小暮さんと花川さんがたちまち「さすが芳沢くん!」なんて黄色い声を出す。

堀田くんも南くんも「だな!」なんて彼に同調して、すぐにその場が収まった。

なによ……みんな、芳沢くん芳沢くんって。
この人、優しい顔の仮面を被ってるだけなんだからね!

……この時間、早く終わって……!!

「よし、じゃあ分けますか!」

南くんの声で、みんながグループの真ん中に腕を出す。

どうか……どうか、芳沢芹司とは離れますように。
小暮さんか花川さん、女の子がとなりでもいいから!!

私はそう願いながら、手をぎゅっと握って出した。