芳沢くんは私に堕ちない


今の私って、完全に詰んでるじゃん。

落とそうとした芳沢くんに嫌いと言われ、彼の本性をバラしても信じてもらえない。

あーやめやめ。
面白くない。
こんなゲーム。

「お弁当、ふたりどっちの種類がいい?」

私は、スマホを操作して、画面を美遥と真央に向ける。
私が毎日食べている弁当の5つのパターンが載せられた写真だ。

「え」

「珍しい。恋杏が負けを認めるなんて」

とふたりがきょとんとこちらを見つめる。

「負けたわけじゃないから!面白くないことはやりたくないだけっ!」

「あーはいはいそうですか〜まあいいや!!この高級弁当食べられるなら!私、鰻重でいい!?」

「好きにして」

図々しい美遥にそう答えれば、

「じゃあ、私、黒毛和牛ステーキ!」

なんて、真央も美遥に乗る。

「あなたたち、遠慮って言葉知らないの!?」

「恋杏の親友ですから」

「類は友を呼ぶって言うし!」

「ほんと失礼しちゃう!」

相変わらずなふたりにそう言いつつも、私はお手伝いの根岸にお弁当のことをメッセージで伝える。

今日、芳沢芹司と話したのは大きな間違いだった。
それこそ、時間を無駄にした。

私から話しかけなければ、関わることなんてもうないのだから、早く忘れよう。

本当の恋、絶対して見せるんだから。