青春、一生の思い出

部活で思うようにいかなくて、胸の奥がぎゅっと苦しかった。
教室に戻ったとき、まだ数人のクラスメイトが残っていて、「大丈夫?」と声をかけてくれた。
その瞬間、こらえていた涙が一気に溢れ出した。

泣きじゃくる私のそばに、仲の良い二人の男子も来て、なんやかんやと不器用に慰めてくれた。
「もう帰ろうか」
そんな空気になって、三人で校門へと歩いていた時――

「ピアノ弾きたい」

突然ひとりがそう言い出した。
私たちは顔を見合わせ、そしてなぜか自然と体育館へ向かっていた。
もし先生に見つかったら絶対に怒られる。夜の七時、鍵のかかった校舎に忍び込むだけで心臓が跳ねる。

でも、そのドキドキの中で、彼が演台の上にあるピアノの前に座った。
指先が鍵盤に触れた瞬間、体育館の静寂が柔らかな旋律に変わった。

私は前から「聴きたい」と何度も言っていたのに、彼はなかなか応えてくれなかった。
だけど、この夜は違った。
もしかしたら、落ち込んでいた私のために――そう思いたくなるくらいに、音はやさしかった。

暗い体育館の中、こっそり響くピアノの音。
秘密みたいな時間。
それが、私の「青春」の一枚なんだ。