二人で足音を立てないように寝室を抜け出し、それぞれ着替える。
廊下の窓の外では、まだ朝靄の残る庭で小鳥が鳴いていた。
畳の冷たさに足がすくみながら洗面所へ向かうと、理人は背を伸ばしながら大きなあくびを噛み殺していた。
「昨日さ、宿題どこまでやった?」
私が歯ブラシをくわえながら尋ねると、理人は頭をかきながら言う。
「半分くらい。……都花は?」
「ぜんぶ!」
胸を張ると、彼はニヤッと笑って言った。
「やっぱりな。後で写させてくれよー!」
「はいはい……」
呆れながらも、なんだかんだ断れない。鏡越しに理人が得意げな顔で歯を磨いている。
「そういうとこ、ほんと助かるんだよな。俺、都花がいなかったら留年してるかも。」
「それは大げさ。」
「いや、マジで。」
真顔で言うもんだから、思わず吹き出しそうになる。
──本気か冗談かわからない、これも理人らしさ。
廊下の窓の外では、まだ朝靄の残る庭で小鳥が鳴いていた。
畳の冷たさに足がすくみながら洗面所へ向かうと、理人は背を伸ばしながら大きなあくびを噛み殺していた。
「昨日さ、宿題どこまでやった?」
私が歯ブラシをくわえながら尋ねると、理人は頭をかきながら言う。
「半分くらい。……都花は?」
「ぜんぶ!」
胸を張ると、彼はニヤッと笑って言った。
「やっぱりな。後で写させてくれよー!」
「はいはい……」
呆れながらも、なんだかんだ断れない。鏡越しに理人が得意げな顔で歯を磨いている。
「そういうとこ、ほんと助かるんだよな。俺、都花がいなかったら留年してるかも。」
「それは大げさ。」
「いや、マジで。」
真顔で言うもんだから、思わず吹き出しそうになる。
──本気か冗談かわからない、これも理人らしさ。



