さくらびと。美桜 番外編(2)

「忘れてとは言ってないよ」





彼女は裕紀の頬に手を伸ばしたが届かず、代わりに指で涙を拭う。






「裕紀が、悲しみの中で生き続けてほしくない。」






その時初めて美桜の本当の願いに気づいた。彼女は自分の死を通して裕紀を解放しようとしている。






「この桜の木みたいに、」






美桜は遠くを見つめた。






「私の思いも巡り巡って……いつかきっと、"蕾"が芽吹くかもしれないでしょ?」






裕紀は涙を止めることができなかった。





嗚咽を堪えながら必死に頷く。