「桜ってね」
美桜は細い指で落ちてきた花びらを掴もうとするが、すぐに逃げてしまう。
「一生懸命咲いて……でもすぐに散ってしまうでしょう?」
「それが私の人生みたいで、」
涙で濡れた彼女の瞳に桜のピンク色が反射して輝いている。
「でも散っても終わりじゃないの。」
美桜は胸に手を当てて微笑んだ。
「種を残してまた生まれ変わる……そういう循環の中に私はいる」
そんな哲学的な言葉に、裕紀は戸惑った。
死を受け入れつつも希望を見出そうとする彼女の強さに圧倒される。
「だからね……私がいなくなっても悲しまないで」
「そんなことできない!」
裕紀の声は震えていた。目の前の恋人を失うことなど考えられない。
「毎日君のことばかり考えて過ごしてきたのに……そんなこと…無理だ」
美桜は苦笑して首を振った。



